熱 | |
夢を見た。
まるで現実のような触感まであるリアルな夢。 でも、それは熱にうかされた私には必要な、心に栄養を与えるように甘く、優しい夢だった。 夢の中でずっとずっと思いつめていた相手に告白すると、返事がイエスで抱きしめられる夢。 夢でも幸せだった。 苦しいほど幸せだった。 だから、目が覚めて現実に涙した――。 熱い吐息で、言葉が紡がれた。 その目は夢見るように宙を彷徨い茫洋としていた。 「ねえさん、……好き、大好き……」 苦しげな息で告白される。 私は胸をぎゅっと掴まれるかのような痛みに身体を縮こまらせた。 高熱が、不安が、夢が、その他のさまざまな要因が、そう言わせているのかも知れない。 けれど、……私は既に目蓋を閉じて苦しげに息をしながら眠ってしまった妹を抱きしめた。 「私も好きだ。……愛してる……」 熱で艶やかに上気した熱い頬に自分の頬を寄せる。 そのうっとりするような柔らかではりのある感触に全身の血が逆流するかと思った。 今だけ、そう、今だけ。 妹を抱きしめる腕に、少しだけ力を込めた。 燃えるように熱いその身体は、まるで私の情熱が妹を焼きつくそうとでもするかのようだった。 |