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雨……
 窓の外、ずぶ濡れになるあなたを見る。
 ――早く帰って!
 ――お願い、諦めて……。
 唇を噛み締めてすがるようにカーテンを握る。
 あなたは何時間そこに立ち尽くすのだろう。
 私は何時間あなたをここで見続ければいいのだろう。
 こんな事は耐えられない。
 隣の幼馴染の家に駆け込んでひっぱたいて怒鳴りつけてやりたい。
 なのに、あなたを振った幼馴染に感謝している醜い私が居る。
 私はどうすればいいのだろう。
 慰めて励まして、また新しい恋をするように応援すればいいのだろうか?
 とても耐えられそうにない。
 そして今の状態をも耐えられない。
 私の気持ちは何処にも行けない。
 耐え切れずに駆け出して玄関を飛び出す。
 私の顔を見て逃げようとしたあなたを捕まえる。
 その触れる腕の、身体の冷たさに、私の心が悲鳴を上げる。
 感情のままに泣き崩れるあなたを抱き締める。
 せめて今だけ、あなたの冷え切った心と身体を温めてあげたい。
 私の熱をあなたへ注ぎたい。
 全身を震わせるあなたを強く強く抱き締める。
 私の頬を打つのは雨?
 それとも、私の、……涙?