- ■ 憂鬱な月曜日
(注:微妙な表現が含まれています)
疲れが取れない。
もちろん年のせいもあるのだろうけど。
もう若くは無いから。
でも、それ以上に……。
私は指折り数えてしまう。もう、一週間だ。
年齢とかそういうことに関係なく、栄養が不足している。
それは食べ物じゃなくて心の栄養。
月曜なのに朝から疲れていると同僚にからかわれながら仕事をはじめる。
昼休みは食欲も無いのに栄養を補給するために砂を噛むように感じながらとりあえず詰め込む。
半分以上を残した私に「ダイエット中?」なんて的外れな声がかかる。
ダイエット、したいわけじゃない。
あなたを抱きしめる柔らかな腕ががりがりになるのはやだな、と思ってもう少し詰め込む。
ため息をつきつつ指折り数える。
あと、10日。
私、死んじゃうかも。
心の栄養不足で。
朝6時半、目覚まし代わりの携帯が振動する。
目覚めて起きると背中にぬくもりがあって、あなたが後ろから私を抱き締めてくれていた。
1週間と1日ぶりだぞ。
起こさないようにそっと腕の中から抜け出す。
枕元にはメモ帳があって、「3時帰宅、8時起床予定」と走り書きがあった。
そっと顔にかかる髪を撫でつけて、久しぶりにあなたの顔を眺める。
それだけで心に栄養が染み渡るように、私の全身の細胞が活性化する。
起こさないようにそっと柔らかな頬に口付けて、私は手早く着替えを済ませ、寝室を飛び出した。
いつものようにダラダラしてられない。
いつもよりも簡単にもろもろの身支度を済ませ、冷蔵庫を覗き込む。
一緒に食事はとれないけれど、今日は作って上げられる。
弾むような気持ちで、朝食を作った。
私の出勤時間は7時半。
8時にコーヒーが落ちるようにセットしてもう一度寝室へ行く。
出社前に食事じゃない栄養補給をしとかないと、今度はいつ会えるか判らないから。
私が起きぬけた状態のまま、ピクリとも動かず熟睡している。顔色が悪いのは蓄積した疲労からだろう。
枕元の手帳に「行って来ます!」と書き込んで、囁く。
「お互い頑張ろうね」
しどけなく開かれた唇に自分のそれを合わせると、私は自分に喝を入れて家を飛び出した。
頑張れ自分、今日も一日戦おう。
栄養はまだまだ満タンじゃないけど、大事な大事な補給が出来たから。
火曜の朝は元気に出勤。